「ニュースでよく5Gという言葉を聞くけど、それってどういう意味?」「読み方は?ゴジー?5ギガ?」
今回は、新たな移動通信システム「5G」について、誰でもわかるようにやさしく解説します。
「新たな移動通信システム?何だか難しそう、自分には関係ないかな。」
いえいえ、5Gはこれから誰もが日々の生活で関わっていくものです。ここでは、5Gで私たちの生活はどのように変わっていくのか、という視点でみていきます。
5Gを知っておくことで、これからの世の中の流れが見えてきますよ。
5Gってなに?
5Gの “G” は、「世代」という意味の英語 “Generation” の頭文字を取ったもの。読み方は「ファイブジー」です。
つまり、5Gは「第5世代」ということなんです。では、何の第5世代なのか?
それは、移動通信システムの第5世代です。
移動通信システムって?
移動通信システムとは、ユーザーがあらゆる場所で、移動しながらでも通信できる仕組みのことです。
みなさんスマホを使っていますよね。スマホ画面上部に「4G/LTE」という文字が表示されていませんか?
4G/LTEというのは、第4世代の移動通信システムということです。
世代交代は10年ごと?!

〇Gという言葉が広く一般に知られるようになったのは、おそらくiPhone 3Gが発売されてからですよね。iPhone 3Gが発売されたのが、2008年のことでした。
「じゃあ、2Gや1Gはいつ頃始まったの?」という疑問がわいてきますよね。それでは、移動通信システムの変遷をみていきましょう。
1G
1979年、車に電話機を搭載した自動車電話としてスタート。
2G
1990年頃、メールが使える本格的な携帯電話サービスとしてスタート。
3G
2000年頃スタート。携帯電話でのインターネット利用(iモードなど)、画像の送受信が当たり前に。
4G
2010年にサービス開始。動画やゲームなど大容量のコンテンツもやりとりできるように。
5G
2020年3月、NTTドコモ・KDDI・ソフトバンクがサービスを開始。
このように移動通信システムは、およそ10年ごとに世代交代を繰り返してきたことがわかりますね。
ということは、次世代通信システム「6G」は2030年頃にスタートする?!
2019年4月に、アメリカと韓国でほぼ同時にスマホを用いた5Gサービスがスタート。中国では、2019年10月末に50都市で商用サービスが始まっています。
5Gのなにがスゴいの?
5Gはこれまでの移動通信システムと比べて、なにがスゴいのでしょうか?5Gの特徴は以下の3つです。
なんとなくイメージができるかもしれませんが、一体どういう意味なのか、ひとつずつみていきましょう。
高速大容量
5Gでは、現行の4Gの100倍に当たる、毎秒20ギガビット以上(ピークレート)の高速通信が可能。2時間の動画が3秒でダウンロードできてしまいます。
高信頼低遅延
4Gの1/10という、極めてタイムラグが少ないので、遠隔治療や自動運転において正確で安全なオペレーションが可能になります。
多数同時接続
4Gの10倍、1平方キロメートル当たり最大100万台の機器と同時接続が可能。身の回りのあらゆるモノがインターネットにつながる、IoT時代には欠かせません。
IoT(アイオーティー)とは、Internet of Things「モノのインターネット」の略。
家や車、家電製品、電子機器などさまざまなモノをネットワークとつなげ、サービスの効率化、利便性の向上を実現しようというものです。
5Gで世の中はこう変わる!
4Gまでは携帯電話やスマホなど、人が使うサービスが中心でした。一方、5Gは人が使うだけではなく、さまざまな分野での利用が想定されています。
これまではなかなか実現が難しかったことも、5Gの持つ「高速大容量」「高信頼低遅延」「多数同時接続」という特徴により現実的なものに。
5Gによって世の中はこれからどのように変わっていくのでしょうか?
キーワードは「スマートシティ」「MaaS」「AR・VR」「ウェアラブルデバイス」「クラウドゲーム」「遠隔医療」です。
スマートシティ

スマートシティとは、インターネットを活用して、都市計画やインフラサービスなどを効率的に管理・運営し、全体として最適化された新しい都市のことです。
スマートシティにおいて、ロボットやドローンによる配達物の配送、自動走行車による病院送迎、AIによるカスタマーサービスなど、5Gの活躍が期待されるシーンはさまざまです。
MaaS

MaaSとは、Mobility as a Serviceの略で、「マース」と読みます。スマホのアプリなどで出発地と目的地、時刻などを入力すると、さまざまな移動手段を組み合わせて最適な経路を提案、予約から決済まで一括で行うサービスです。
人の「移動」に変革をもたらすと言われているMaaS。
道路の混雑状況などリアルタイムでのデータを収集・解析し、最適な移動経路を見つけるために、5Gの大容量通信が必要になります。
AR・VR

ARとは、Augmented Realityの略で、「拡張現実」と言われるもの。現実の映像にアニメーションなどの映像を重ね合わせる技術のことです。「ポケモンGO」がARを使ったゲームとして有名です。
VRとは、Virtual Realityの略で、「仮想現実」と言われるもの。映像をディスプレイに映し出し、実際にその場にいるような体験ができる技術のことです。VRを使ったものとしては、PlayStation VRが有名です。
5Gによる動画の高解像度化、ARやVRコンテンツの拡大により、私たちの映像体験が今後劇的に変化することが予想されています。
☞ ARウィンドウ
進行方向を示す矢印や、ほかの車からの情報に基づき、前方でスリップが発生しやすいなどの警告がウィンドウ上に半透明で表示されます。
☞ ARグラス
観客席から見ている視点とは別視点からの映像が、ARグラスに重ねて表示されます。
☞ VRヘッドセット
複数箇所に設置されたVRカメラの視点をシーンに応じて自由に切り替えながら観戦できます。
旅行中に撮ったVRカメラの映像を自宅にいる家族と共有して、一緒に旅行に行っているような体験ができます。
ウェアラブルデバイス

ウェアラブルデバイスとは、体に身につけたままデータの処理・通信を行うことができる端末のことです。 腕時計型、メガネ型のほか、衣類に組み込まれたタイプなどもあります。
5Gにより、スマートウォッチやスマートグラスなど体に身につける機器、ウェアラブルデバイスがより進化していきます。
☞ スマートウォッチ
スマートウォッチは、時計としての機能はもちろん、電話やメール、音楽、健康管理などさまざまな機能を持つ、腕時計型のデバイスです。代表的なものでは、Apple Watchがあります。
☞ スマートグラス
スマートグラスは、メガネ型のデバイスで、カメラ撮影、AR画像の視聴などができます。グーグルのGoogle Glassが有名です。
クラウドゲーム

クラウドゲームとは、クラウドサーバーに格納されたゲームソフトを、対応デバイスからネットワーク経由でプレイすることができるサービスです。
5Gの普及により、ソニーのPlayStation NowやグーグルのGoogle Stadiaなどのクラウドゲームが今後ますます盛んになると言われています。
クラウドゲームは、PCやタブレット・スマホで遊べるため、専用ゲーム機を買う必要がありません。
遠隔医療

遠隔医療とは、医師と患者が離れたところで、インターネットを通じて医療サービスを受けること(提供すること)を言います。
5Gを利用することにより、専門医が近くにいなくても高度な医療サービス(遠隔診断や遠隔手術など)が受けられるようになる可能性があります。
遠隔診療
TV電話による診察のほか、患部や内視鏡の映像を専門医にリアルタイムで送信することにより、より的確な診療が可能になります。
遠隔手術
手術部位の映像をカメラで撮影し、遠隔にいる専門医にリアルタイムで送信。専門医は、映像を見ながら手術ロボットを遠隔操作し、実際の執刀はロボットが行います。
参考書籍
今回は、5Gのもっとも基本的な部分と、「MaaS」「AR・VR」などいくつかのキーワードのみをピックアップして紹介しました。
こちらの本では、5Gネットワークの仕組みや、「ロボット・製造」「建設・土木」「農業・漁業」など幅広いテーマから、5Gの更なる可能性を知ることができます。
参考サイト