「人工知能とかAIってよく聞くけど、実はあまりよくわかってないかも…。」
「AIって今後どうなっていくの?人間を超えていくの?」
みなさんは人工知能(AI)と聞くと、どんなものをイメージしますか?
映画やテレビに出てくるAIは、人間そっくりの姿をしたロボットみたいなものが多いですよね。でも、iPhoneのSiri(シリ)みたいなものもAIと呼ばれるし…。
AIってよく耳にするわりには、実際のところ何なのかよくわからない。こんな方もきっと多いはず。
今回のテーマは、「人工知能(AI)」。AIのキホンをわかりやすく解説します。
今回の参考書籍はこちら☟
人工知能(AI)とは?

AIという言葉が生まれたのは1950年代。研究者たちは、「人と同じように考える知的なコンピューター」のことをAIと呼びました。
つまり、AIとはコンピューターのこと。映画に出てくるようなヒト型ロボットは、あくまでイメージで、必ずしも人間のような姿をしている必要はありません。
Artificial Intelligence(アーティフィシャル インテリジェンス)の略。Artificialは「人工的な」、Intelligenceは「知能」という意味です。つまり、「人工知能」と「AI」はまったく同じことを指しています。
“人のように考える” コンピューターをAIとするならば、まだ本当の意味でのAIは存在していないことになります。
「エッ、でもSiriやAlexa(アレクサ)とかってAIじゃないの?」

たしかに、SiriやAlexaなどの音声アシスタント、スマホの顔認証、音声翻訳サービスなど、最近ではAIと呼ばれる製品やサービスが続々と登場していますよね。
現在は、そのような “AI機能” を持つものがAIと呼ばれている、ということなんです。
ここ数年、AIという言葉がより身近になりましたよね。実は2000年代半ば頃から、「第3次AIブーム」がはじまったと言われています。
「エッ、じゃあ第1次、第2次はいつだったの?」
- 1950年代後半~1960年代
- パズルや迷路のように、ルールとゴールが決まっているものしか扱えなかった
- 1980年代~1990年代前半
- 知識やルールを完全に覚えさせたりするのが難しく、データがない問題に対応できなかった
- 2000年代半ば~
- 「ディープラーニング」の登場で、AIの応用や研究が加速
ディープラーニングで進化するAI
テレビやニュースなどで、「ディープラーニング(深層学習)」という言葉を聞いたことがありませんか?
2010年代に普及したディープラーニングによって、AIは飛躍的な進化を遂げました。
ディープラーニングってなに?
人間の脳は、神経細胞(ニューロン)どうしがつながって、ネットワークをつくることで、情報を次から次へと伝達していきます。


(写真は公園にある遊具です)
ディープラーニングは、脳の神経細胞のネットワークをまねて、AIにものごとを学習させるための手法のことです。
コンピューターが自ら学習するためのしくみのことを、「機械学習」といいます。機械学習の中で現在最も注目されている手法が、ディープラーニングです。
ディープラーニングは、画像などのデータに含まれるさまざまな特徴を、自分で見つけ出すことができます。
例えば、チューリップとヒマワリを見分けるときに、これまでは「色や花びらのカタチに着目してね。」というような指示が必要でした。
でも、ディープラーニングは大量の画像を読み込ませるだけで、その画像に含まれる特徴を自ら抽出します。


さまざまな分野で活躍するAI
ディープラーニングの登場によって、AIの性能が飛躍的に向上し、さまざまな分野でAIの活用・開発が進んでいます。
どんな場面でAIが活躍しているのか。ここでは、ほんの一部だけ紹介します。
すでにAIが活用されている分野
カメラで顔を写すことによって、本人であることを認証できる「顔認証システム」。空港の入国審査や、スマホのセキュリティ、警察の犯罪捜査などですでに使われています。

天気予報でも画像認識AIが使われています。人工衛星がとらえた雨雲の画像をAIに学習させることで、天気予報の精度が上がります。

2016年11月に、Google翻訳にディープラーニングが導入され、翻訳の質が大幅にアップしました。このような自動翻訳システムでは、人間による対訳データをもとに翻訳しています。

研究・開発が進められている分野
日本やアメリカ、ヨーロッパ、中国など、世界中で開発が進められている自動運転車。自動運転では、AIがカメラやレーダーで周囲の状況を認識し、ブレーキをかけるなど、ドライバーの役割を果たします。

病気の原因となるタンパク質と薬の化合物は、カギとカギ穴のような関係になっています。通常、カギを見つけ出すのには膨大な時間がかかります。
そこで、過去の実験データをもとに、ぴったりとはまるようなカギを提案してくれるようなAIの開発が進められています。

患者さんから採取した組織の標本を顕微鏡で観察して、がん細胞の有無をAIが診断する研究が進められています。画像解析はAIが最も得意とする分野のひとつです。

AIが抱える弱点とは?!
「AIはこのままかしこくなり続け、あらゆる分野で人間を超えていくの?!」って思いますよね。
でも現状では、人間なら当たり前のようにわかることも、AIはわかっていないようです。
AIは言葉の意味を知らない
例えば、こんな話があります。
シマウマを知らない子どもに、「シマウマは、しましまのあるウマだよ。」と教えれば、どんな動物かは何となくイメージできますよね。

ところがAIに同じように伝えても、何のことだか理解できないそうです。
AIは、「ウマ」や「しましま」という単語を、コンピューター上の記号(シンボル)としてのみ認識しています。文字の意味を理解していないので、人間のようにシマウマをイメージすることができません。
AIは考えすぎてしまう
例えば、こんな実験があります。
それは、AIに洞窟の中から爆弾がついたバッテリーを取ってこさせる、というもの。
まず最初に、「バッテリーを取ってきて。」とAIに命令しました。すると、AIは爆弾がついたまま持ってきてしまいました。

次に、「何か行動するときには、それによって起きる影響も考えて。」と命令を追加しました。すると、今度はバッテリーの前で立ち止まって動かなくなってしまいました。
「バッテリーを持ち上げたら床がくずれるかも。」「バッテリーを持ち上げたら爆発するかも。」・・・
いろいろと考えすぎて身動きがとれなくなってしまったのです。AIは枠組みやルールがないと考えすぎてしまう、という問題があります。
AIはこれからどのように進化していくの?

目覚ましい発展を遂げてきたAIですが、特定の分野では高い能力を発揮しても、それ以外の分野では応用がきかない、というのが現状です。
ではこの先、AIはどのような能力を獲得して、どのように進化していくのでしょうか?
AIの専門家である東京大学の松尾豊教授によると、AIはこの先、このような進化を遂げていくそうです。
「あったかいな」
↓
「ドアを開けてみよ」
↓
「おいしそうだな」
↓
「うんうん、わかるわかる」
↓
「そんなの常識でしょ」
「知識や常識を獲得するのはいつ頃の話なの?」
大まかな予測では、2030年頃と言われています。もうすぐそこまで迫っていますね。
「AIは人間の知能を超えていくの?」
まだまだ相当な時間がかかりますが、「AIがいずれ人間の知能を超える」ということについては、多くの研究者が同意しているようです。
参考書籍
AIの基本から最新の応用技術、AIとセキュリティ、AIと仕事、AIと教育など、気になるテーマが満載の一冊です。
人工知能(AI)についてもっと知りたい、という方はこちらの本を読んでみてください。
関連記事
