株式投資で1,000億ドル*を超える資産を一代で築きあげた、世界最高の投資家ウォーレン・バフェット。
彼がはじめて株の取引をしたのは11歳のときでした。そのときの失敗から、彼は投資におけるある教訓を学んだといいます。
世界有数の富豪となった今でも守り抜く、株式投資【3つの教訓】とは?
*約11兆円、2021年3月時点の資産額
参考書籍
バフェットが生涯守り抜く【3つの教訓】

ウォーレン・バフェット
アメリカの投資会社バークシャー・ハサウェイの会長兼CEO。
史上最も成功した投資家の一人で、総資産は2021年3月時点で1,000億ドルを超える。
その投資哲学から、世界中の投資家から尊敬され、「オマハの賢人」と呼ばれている。
(オマハとは、彼の出身地であるネブラスカ州オマハのこと。)
cover image by chiplanay
幼い頃から株に興味があったバフェット。彼は11歳のときに、チューインガムやコカコーラの販売で貯めたお金を元手に、姉を誘って株式投資を始めます。
シティ・サービスという石油会社の株を、38ドル25セントで3株購入。ところが、株価はその後27ドルまで下落してしまいました。
せっかく貯めたお金がどんどん減っていくのをみて、彼は動揺を隠せず、姉からは散々文句を言われたといいます。
やがて株価は回復し、40ドルまで上がったところですぐに売却。約5ドルの利益を得ることができました。
しかし、株価はその後も上がり続け、とうとう202ドルに…。もしあのとき手放さなければ、500ドル(現在の価値で約100万円)近い利益が得られたわけです。
このときの経験から、バフェットは世界有数の投資家となった今でも守り抜く【3つの教訓】を学んだといいます。
1.目先の利益にとらわれない
2.買ったときの株価にこだわらない
3.なるべく他人のお金を運用しない
1.目先の利益にとらわれない
例えば、ある株を5,000円で100株買ったとします。
その後、その株は一旦下がりつつも、6,000円まで上がりました。この時点で持ち株を全部売れば、100,000円の利益が確定します。そこで、持ち株を全部売却することにしました。
ところがその株は、その後14,000円まで上がりました。もし株を手放していなければ、今頃900,000円の含み益に…。
これは実在する、ある株の2019年7月〜2021年7月までの2年間の値動きをもとにした例です。
その株とは、あなたが今手に持っているiPhoneをつくっている会社「Apple」の株。
(本文では、単位をドル➜円に変えています。)

目先の小さい利益に目がくらんで売ってしまうと、得られるはずだった大きな利益を失ってしまうことがあるということです。
2.買ったときの株価にこだわらない
株価は上がったり下がったりするもの。
こちらのチャートを見てください☟
(チャートの単位は、ドルです。)

これは、ある株の1年間の値動きを示したものです。15,000円〜20,000円くらいの間で、上がったり下がったりを繰り返していますよね。
仮にあなたがこの株を17,500円で買ったとします。
15,000円まで下がったときは、「もっと下がるかもしれない」と考えて、これ以上損失が膨らまないように売ってしまいたくなるかもしれません。
逆に、20,000円まで上がったときは、「そろそろ下がり始めるんじゃないか」と考えて、利益を確保するために売ってしまいたくなるでしょう。
では、同じ株の5年間の値動きを示したチャートを見てみるとどうでしょうか。売るか売らないか悩んでいたのは、オレンジ枠の期間でしかありません。

この株は、その後35,000円まで上がっています(2021年8月時点)。世界中のみんなが使っているSNS、「Facebook」の株です。
このように、少しでも値下がり(または値上がり)したタイミングで売ってしまうと、のちに得られるはずだった大きな利益を逃してしまうことも。
買ったときの株価にこだわると、一時的な上下で一喜一憂してしまい、感情的で視野の狭い取引になってしまうということです。
3.なるべく他人のお金を運用しない
姉を誘って株の取引をはじめたバフェット。そこで彼は、他人のお金を巻き込んで運用することの難しさを知りました。
自分のお金で運用しているときは、株価が多少下がっても冷静に待つことができます。ところが、他人のお金を運用している場合はどうでしょうか。
少し損失を出しただけでも焦ってしまうでしょうし、逆に株価が少しでも上がるとすぐに売って利益を確保したくなってしまいます。
つまり、他人のお金で(借金をして)運用すると、冷静な心理状態で取引をすることが難しくなってしまうということです。
バフェットは現物取引をすすめている
株の取引には、現物取引と信用取引があります。
現物取引とは、自分の口座にあるお金で取引をすること。一方、信用取引は証券会社からお金を借りて取引を行うことです。
信用取引では、より多額のお金を扱える分、成功すれば儲けは大きいですが、失敗したときの損失も大きくなります。また、返済の期限が決まっているので、好きなタイミングで売買できないこともあります。
他人のお金で運用するのは、自分のお金で運用するよりはるかに難しい。そのことを熟知しているバフェットは、信用取引よりも現物取引をすすめているのです。
参考書籍
ウォーレン・バフェットが人生を通して、何を学び、何を実践していったのか。
世界有数の大富豪となったバフェットの投資哲学と手法をマンガで学べます。