「MaaSってなんのこと?」「そもそも、どうやって読めばいいの?」
最近ニュースなどで「MaaS」という言葉をよく見かけるようになりましたよね。
「言葉自体は聞いたことがあるけど、何のことかよくわからない。」という人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、次世代交通システム「MaaS」について分かりやすく解説します。
MaaSを理解することで、「人の移動がこれからどのように変わっていくか」が見えてきます。それではチェックしていきましょう。
MaaSとは?

MaaSは、Mobility as a Service(モビリティ・アズ・ア・サービス)の略で、「マース」と読みます。
直訳すると「サービスとしての移動」という意味になりますが・・・何のことだかよく分からないですよね。
MaaSを一言でいうと、「あらゆる移動手段を1つのパッケージにして提供する」というものです。
あらゆる移動手段が1つのパッケージに
例えば、自宅からディズニーランドまで、公共交通機関を使って行くときのことを思い浮かべてみてください。
事前に計画を立てるとき、グーグルマップなどで経路や所要時間を調べますよね。ジョルダンとかNAVITIME(ナビタイム)を使う人も多いと思います。
「バスで最寄り駅まで行って、電車で〇〇駅まで行って、〇〇線に乗り換えて」など、自宅から目的地までの経路が一目で分かるので、とても便利ですよね。

でも、もしそこに表示されるすべての交通機関を予約から支払いまで、1つのアプリで事前にまとめてできたとしたら・・・さらに便利だと思いませんか?
それを可能にするのがMaaSアプリです。
MaaSアプリでは、バスや電車だけでなく、タクシー、レンタカー、カーシェア、自転車シェアなど、あらゆる移動手段を含めて最適なルートを検索します。
そして、アプリでまとめて支払いを済ませてしまうので、あとは実際にそれに従って移動するだけです。
「移動」そのものが1つのサービスになるようなイメージですね。
社会問題を解決する方法として世界が注目
都市部の交通渋滞や排気ガスによる大気汚染、CO2(二酸化炭素)排出による温暖化など、世界はさまざな社会問題を抱えています。
世界が抱える社会問題
- 交通渋滞
- 大気汚染
- 温暖化
- 過疎化
- ドライバーの高齢化
- 交通事故
もし、公共交通機関での移動がもっと便利になって、より多くの人が電車やバスを使うようになったら・・・これらの問題を解決できるかもしれません。
MaaSは、このような問題を解決する方法として、いま世界各国で導入が進められています。
海外&日本で使われているMaaSアプリ

世界で最もMaaSアプリが広く普及しているのが、「MaaS先進国」と呼ばれるフィンランドです。実は、MaaSという言葉も、もともとはフィンランドで生まれたもの。
フィンランドの首都ヘルシンキでは、「Whim(ウィム)」という世界初のMaaSアプリが2016年に登場し、利用者が拡大し続けているといいます。
世界初のMaaSアプリ「Whim」
Whimでは、目的地を入力するといくつかのルートが表示されるので、好きなルートを自分で選びます。
支払いはアプリで事前に済ませるので、チケットを買うために並んだりする必要がありません。また、月額料金を支払うことでバスや電車などが乗り放題になる定額プランもあります。

Whimは、2019年に日本へも進出。一部地域ですでに実証実験が始まっています。
国レベルでMaaSの導入が進むフランス
フランスでは、フランス国鉄(SNCF)が運営するMaaSアプリの導入が進んでいるようです。
TGV(フランスの新幹線)をはじめ、国内各地の鉄道路線・地下鉄・LRT(路面電車)・バス・タクシー・カーシェア・自転車シェアが、アプリ1つで予約から決済までできます。

東京メトロの「東京メトロmy!アプリ」
日本でもさまざまな形でMaaSへの取り組みが始まっています。今回は、東京メトロのMaaSアプリ「東京メトロmy!アプリ」を紹介します。
2020年8月に東京メトロアプリがリニューアル。鉄道に加えて、タクシー、コミュニティバス、自転車シェアを含む経路検索ができるようになりました。

当アプリでは、経路検索の結果を引き継いで、タクシーアプリ「GO」などをワンタッチで起動することも可能です。
今のところ、決済まで1つのアプリで完結するというものではありませんが、今後支払いまでできるようになれば更に便利ですよね。
自動運転 × MaaSで人の移動はこう変わる

いま世界各国で自動運転の研究開発が進められています。
自動運転技術が向上して、自動運転バスやタクシーが普及したら、それらもMaaSアプリ内に導入されることが予想されています。
自動運転車がMaaSのシステムに組み込まれたら、人の移動はどうなっていくのでしょうか。
まだ少し先の話ですが、想像してみましょう。
未来の移動はこんな感じに
家族でディズニーランドに行くときを想像してみてください。
まずは、MaaSアプリで自宅からディズニーランドまでの経路を検索。好きな経路を選んだら、全ての予約と支払いをアプリ上で済ませます。
今回選んだのは、次のような経路です。
- 玄関を出ると自動運転タクシーがお出迎え ➜ 最寄り駅へ(支払いは済んでいるので、そのまま降りるだけ)
- 最寄り駅から舞浜駅まで移動(改札でアプリ画面をかざすだけ)
- 舞浜駅から徒歩でディズニーランドの入園ゲートへ
これはあくまで想像ですが、未来の移動はこんな感じになるかもしれません。いや、もしかしたら空中にはエアタクシーが飛んでいるかも?!
参考サイト
- Whim
- Whim 日本での実証実験がスタート! – Whim – Whim app
- Assistant SNCF
- my! 東京MaaS-東京における大都市型MaaSの取組み | 東京メトロ
参考書籍
MaaSとは何か、海外のMaaS事例、日本におけるMaaSの取り組みなど。図解を用いながら詳しく解説してくれています。
MaaSについてもっと知りたい人は、ぜひ手にとって読んでみてください。