「マイクロプラスチックって何のこと?」
「何が問題になってるの?」
最近ニュースで「マイクロプラスチック」という言葉をよく耳にしませんか? でも、マイクロプラスチックがどんなプラスチックなのか、よく分からない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、マイクロプラスチックについて、わかりやすく簡単に解説します。マイクロプラスチックの何が問題なのか、わたしたちに何ができるのか、考えていきましょう。
マイクロプラスチックってなに?

マイクロには「とても小さい」という意味があります。 つまり、マイクロプラスチックは「とても小さいプラスチックのかけら」のことです。
マイクロプラスチックの存在が明らかになったのは2004年のこと。それまでは、もっと大きいプラスチックごみばかりが注目されていましたが、今では世界中でマイクロプラスチックの研究が進められています。
どのくらい小さいの?
マイクロプラスチックと呼ばれるのは、直径5ミリ以下のプラスチック片です。

どうやって作られるの?
ゴミとして捨てられた使用済のプラスチックは、川から海へと流れ着きます。そして、太陽光や波にさらされ、どんどん小さく砕かれていきます。そのようにしてできた、小さなプラスチックのかけらがマイクロプラスチックです。
また、洗顔フォームや歯みがき粉などに含まれる小さな粒(スクラブやマイクロビーズと言われるモノ)も、マイクロプラスチックの一種です。
どこで見つかっているの?
マイクロプラスチックは、これまで北極から南極まで、さらに海面から海底まで、海のあらゆる場所で見つかっています。海に流出したプラスチックは、海流に乗って世界中の海に運ばれていくのです。
ハワイ島の浜辺の砂には、多いときで15%ものマイクロプラスチックが含まれていることもあるそうです。
なぜ問題になっているの?

マイクロプラスチックの何が問題なのでしょうか?環境や人間にとってどのような影響があるのか、みていきましょう。
魚がエサと間違えて食べてしまう
マイクロプラスチックはとても小さいため、魚や貝など海の生物がエサと間違えて食べてしまいます。
プラスチックはもともと有毒な化学物質を含んでいます。さらに、マイクロプラスチックには海中の汚染物質が吸着しやすいことがわかってきています。
それを魚が食べたとしたら…きっと死んでしまうこともあるでしょう。プラスチックは消化されずに体内に蓄積されます。もしマイクロプラスチックを食べた魚を、そのあと人間が食べたら⁈
マイクロプラスチックが人間に及ぼす影響については、実のところまだよく分かっていません。プラスチックと深く関わる現在のライフスタイルの中で、マイクロプラスチックだけの影響を知るのは、どうやら簡単ではないようです。
でも、有毒な化学物質や海中の汚染物質が体内に入り込んでしまい、それが蓄積されていくとしたら…考えると恐ろしいですよね。
マイクロプラスチックは魚の内臓にとどまるので、人間が食べる部位には影響がないという見方もあるようですが、それも確かなことではありません。
回収するのはほぼ不可能
マイクロプラスチックはとても小さいため、それを拾い集めて回収するのはほぼ不可能であると言われています。
プラスチックは分解されずに何百年もの間、海のゴミとして浮遊し続けるのです。
マイクロプラスチック問題の解決のために

海に流れ着いたプラスチックが太陽光や波の影響で、やがてマイクロプラスチックになる、ということがわかりましたね。さらに、マイクロプラスチックが回収不可能であることも。
だとすれば、プラスチックの海への流出を防ぐために、「プラごみをできる限り減らす」ということが、わたしたちができるマイクロプラスチック対策になりますよね。
ではプラごみを減らすために、どのようなことができるでしょうか。「プラスチックの事実」をもとに、わたしたちができる身近な解決策を考えていきましょう。
プラスチックの事実にもとづく解決策
- 世界のプラスチックのリサイクル率は約18%
- 世界で発生するプラごみの約半分が容器包装材
- 世界で生産されるプラスチックの4割は使い捨て
① 世界のプラスチックのリサイクル率は約18%
1980年頃には、世界のプラスチックのリサイクル率は、ほぼゼロでした。それが今では18%まで増加しています。でもそれは、8割以上のプラスチックがリサイクルされずにいるということをも示しています。
- ヨーロッパ:30%
- 中国:25%
- アメリカ:9%

リサイクル率を根本的に上げるには、リサイクルが容易な素材の開発、リサイクル技術の向上などが考えられます。ただ、それは国や企業側の努力が不可欠ですし、時間もかかりそうです。今すぐにはできそうにもありません。
もちろん、ゴミをしっかり分別してリサイクルに出す、ということは最低限守らなければいけないことです。
でも、
- 現状で約2割しかリサイクルできていない
- リサイクル率を上げるには時間が必要
ということを考えれば、とにかく「プラごみの量を減らすこと」、これが今すぐできる最大の解決策であることを改めて確認することができます。
世界全体でペットボトル入り飲料は、毎分100万本も販売されているそうです。マイボトルを常に持ち歩いて、ペットボトルのごみをできる限り減らしましょう。
ミネラル分はそのままに、9項目を除去するフィルター付きボトル「fill&go(フィル&ゴー)」。素材自体はプラスチックですが、持ち歩いて水道水を入れるだけなので、のどが渇くたびにペットボトルを買う必要がなくなります。
② 世界で発生するプラごみの約半分が容器包装材
プラスチック製品の最大の割合を占めるのは、買ったあとすぐに捨てられる容器包装材です。例えば、レジ袋や商品のパッケージ、食品トレーなどです。
世界で発生するプラごみの約半分が容器包装材だと言われています。

プラスチック製品の多くが包装材であるということがわかりましたよね。それなら、その包装材のごみを減らすことが最も効果的な解決策になるはず。
スーパーに買い物に行くと、プラスチックの袋でパッケージされた商品がズラリ。ほとんどの商品がそのような状態で売られていますよね。企業側の努力が必要なのは明らかです。
でも、わたしたちは商品を選ぶことができます。「この商品は紙で包装されているな。」とか「この商品、本当にパッケージされる必要あるの?」など、考えながら選んで買い物をするだけで、かなりの量のプラごみを減らせるのではないでしょうか?
まだレジ袋を使っている方は、今すぐエコバッグに切り替えましょう。
シュパッと一気に伸ばしたあと、クルクル丸めてたたむだけ。その名も「Shupatto(シュパット)」。コンパクトなのでサブバッグとしても活躍しそうです。
③ 世界で生産されるプラスチックの4割は使い捨て
世界では年間約4億トン以上のプラスチックが生産されています。そのうち約4割以上は使い捨てのモノで、一度使われただけで捨てられてしまうモノです。例えば、包装材のほかに、ストロー、フォーク、スプーン、お皿などがあります。

使い捨てのプラスチック製品をなるべく買わないようにすること。その代わりに、洗ってまた再利用できるモノを使うようにすること。これは今すぐにでも始められることです。
使い捨ての食器などは、安くて衛生的でとても便利なモノですが、本来使わなくても全く問題ないモノですよね。
「SUTENAI(ステナイ)」。シリコン製のストローで中身を開いて洗えるので、洗浄ブラシも必要ありません。本製品の売上の1%が、WWFジャパン(世界自然保護基金)へ寄付されるそうです。
参考書籍
参考サイト
プラスチック・スマート | 環境省公式サイト
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